車種名すら知らなかった21歳が、カー用品店で働き始めた話

車の知識がないままカー用品店で働き始め、先輩に支えられながら仕事を覚えていく21歳の会社員のイラスト 働いてわかったこと

21歳頃、自分はカー用品店で働き始めました。

今振り返ると、よく採用されたなと思います。

なぜなら当時の自分は、車のことをほとんど知らなかったからです。

車種名もよく分からない。オイルの違いも分からない。バッテリーやタイヤについて聞かれても説明できない。

そんな状態で、車好きが集まるカー用品店に入りました。

でも約3年間働いて、辞める頃には一つの部門を任せてもらえるようになっていました。

車の知識。接客。販売。仕入れ。在庫。売上。粗利。そして、人に仕事をお願いすること。

本当にいろいろなことを、この職場で教えてもらいました。

今考えると、この3年間は自分の世界を大きく広げてくれた時間だったと思います。

高校卒業後、最初に働いた工場での話は、「お金を稼げば自由になれると思っていた|高卒で入った工場で知った現実」に書いています。

派遣が終わって、何をしたいのか分からなかった

その前は、派遣社員として3か月ほど働いていました。

契約が終われば、また仕事を探さなければいけません。

当時の自分には、「将来はこの仕事をしたい」というものはありませんでした。

ただ、一度正社員を辞めて派遣を経験したことで、「やっぱり正社員として働きたい」という気持ちは強くなっていました。

派遣時代と、その後の就職活動については、「遊ぶお金さえあればよかった|何も残っていない自分に気づいて就職活動を始めた話」に書いています。

でもカー用品店へ入る前に、一度だけ、「好きなことを仕事にしたら楽しいんじゃないか」と思ったことがあります。

好きだったパチンコを仕事にしてみた

当時の自分はパチンコが好きでした。

だったら、「パチンコ店で働けば楽しいんじゃないか」

そう思って、アルバイトをしました。

結果は2か月ほどでギブアップです。

好きで遊びに行くのと、そこで働くのは全く違いました。

出ないことで怒る人。店員にキレる人。負けても負けてもお金を入れ続ける人。

それまで客として遊びに行っていた時には見えなかったものを、店員側から見ることになりました。

正直、かなりしんどかった。

自分が好きだった場所の、知りたくなかった部分まで知ってしまった感覚でした。

「好きだから仕事にする」だけでは足りなかった

この経験で、「好きだから」という気持ちだけで仕事にするのは、思っていたより難しいと分かりました。

もちろん、好きなことを仕事にして成功している人もいます。

今はむしろ、「好きなことを仕事として続けられている人ってすごいな」と思います。

楽しいところだけではなく、嫌なところも全部引き受けなければならないからです。

お金。結果。人間関係。責任。

好きなものだからこそ、知りたくなかった現実まで見ることになる。

自分には、そこまでの覚悟がありませんでした。

好きだったものを仕事にして、結果的に嫌いになりかけた。

たかが2か月のアルバイトかもしれません。でも、自分にはかなり強烈な経験でした。

今でもたまにパチンコを打つことはあります。ただ、昔のように無理なお金を入れることはありません。

負けて怒っていた人たち。それでもお金を入れ続けていた人たち。

あの頃、店員側から見た光景が今でも残っているからだと思います。

自分の場合は、好きなことは好きなこと。仕事は仕事。

ある程度分けた方が合っていました。

そして面白いことに、その次に選んだのは、ほとんど何も知らない世界でした。

車の知識ゼロでカー用品店へ入った

パチンコ店を辞めたあと、正社員として入ったのがカー用品店でした。

車には乗っていました。でも詳しくありません。

お客さんから車名を言われても分からない。型式なんてもっと分からない。

部品名を聞いても、「それ、何に使うんだ?」という状態でした。

周りのスタッフは普通に車種や部品の話をしています。

自分だけ会話についていけない。

最初は、知らないということが本当に怖かった。

パチンコ店では、自分が知っている世界へ入りました。カー用品店では逆です。

知らない世界へ飛び込みました。

そこで初めて、「自分って、こんなに何も知らないんだ」と思い知らされました。

「分かりません」で終わらせることはできなかった

でも仕事なので、「車のこと詳しくないんで」では終われません。

お客さんは普通に聞いてきます。

「この車にこのバッテリー使えますか?」

「オイルはどれがいいですか?」

「このタイヤとこっちは何が違うんですか?」

分からなければ先輩を呼ぶ。そして、あとで覚える。

また違う質問をされる。また分からない。また覚える。

その繰り返しでした。

メーカー。車種。オイル。タイヤ。バッテリー。ワイパー。

カーナビ。ETC。マフラー。レーダー探知機。エンジンスターター。セキュリティ用品。

次から次へと知らないものが出てきました。

今ならスマホで検索できます。AIにも聞けます。当時はそんな便利なものはありません。

先輩に聞く。カタログを見る。商品を見る。実際に接客する。失敗する。そして覚える。

それしかありませんでした。

昨日分からなかったことが、今日は分かる

毎日やっていると、少しずつ変わってきます。

昨日答えられなかった質問に、今日は答えられる。知らなかった車種が分かる。商品の違いを説明できる。

最初は全部同じように見えた商品も、「これはこういう人に向いている」と少しずつ分かるようになります。

これが結構楽しかった。

学生時代の自分は、勉強が好きではありませんでした。でも仕事では覚えられました。

今考えると、「何のために学ぶのか」が分かっていたからだったのかもしれません。

お客さんに答えたい。昨日できなかったことをできるようになりたい。もう先輩を呼ばなくても、自分で説明したい。

そう思うと、不思議と覚えられました。

ここで初めて、自分で学んで、分かるようになることって楽しいんだなという感覚を知った気がします。

でも、一人では何もできなかった

今振り返ると、「自分が頑張って覚えた」だけでこの3年間を語るのは違うと思っています。

最初の自分なんて、本当に何もできませんでした。

分からないことがあれば先輩に聞く。答えられなければ助けてもらう。失敗すればフォローしてもらう。

何度も周りの人に助けてもらいました。

当時はそんなことを深く考えていませんでした。自分のことで精いっぱいでした。

そして、「別に誰も自分のことなんて見ていないだろう」とも思っていました。

でも実際には違いました。見てくれている人がいたんですよね。

誰にも見られていないと思っていた。でも見てくれていた

少しずつ仕事を覚えていく姿を見てくれていた人がいました。

分からない時に教えてくれる先輩がいた。困っている時に助けてくれる人がいた。

失敗しても、「次はこうすればいい」と教えてくれる人がいました。

自分では、「ただ毎日仕事をしているだけ」だと思っていました。

でも、人は意外と見てくれているんですよね。

ちゃんとやっているか。投げ出していないか。分からないなりに頑張っているか。

そういうところを見てくれていた人がいました。

だから少しずつ仕事を任せてもらえるようになったんだと思います。

今振り返ると、一人で成長したわけではありません。

むしろ、周りの人たちに育ててもらった部分の方が大きかったと思います。

一番、人間関係を良く築けた職場だった

これまでいくつかの会社で働いてきました。

その中でも、このカー用品店は、自分が一番、人間関係を良く築けた職場だったと思います。

もちろん嫌なこともありました。納得できない制度もありました。仕事がきつい時期もありました。

でも「人」という部分では、今でも思い出す人がいます。

助けてくれた先輩。教えてくれた人。一緒に働いた仲間。

仕事を辞めて何年もたってから、「もっと感謝しておけばよかったな」と思うこともあります。

当時の自分には、それが当たり前に見えていました。でも当たり前ではなかったんですよね。

仕事は、会社や仕事内容だけで決まるものではありません。

誰と働くか。これは思っていた以上に大きい。

40代になった今の方が、そのことを強く感じます。

用品部門を任されるようになった

しばらくすると、自分の担当売場を持たせてもらいました。

用品部門です。

レーダー探知機。エンジンスターター。カーセキュリティ。車内小物。メンテナンス用品。

ここからは商品を覚えて売るだけではなくなります。

仕入れをする。在庫を見る。売場を作る。売上を見る。棚卸しをする。アルバイトへ仕事をお願いする。

少しずつ、「自分の売場」という感覚が出てきました。

入社した頃には車種名すら分からなかった自分が、一つの部門を任される。

自分にとってはかなり大きな変化でした。

車だけではなく「商売」も少し覚えた

この仕事で初めて知った数字もあります。

売上。仕入れ。在庫。粗利。利益率。期首在庫。期末在庫。

最初は何の数字なのかよく分かりませんでした。

「たくさん売ればいいんじゃないの?」くらいに思っていました。

でも違いました。

売上が大きくても、利益が残らなければ意味がない。商品を仕入れすぎてもいけない。在庫にもお金がかかっています。

今振り返ると、この頃に初めて、売上と利益は違うということを知りました。

今、自分が株式投資で会社を見る時にも、売上だけではなく利益を見るようになりました。

すべてがこの経験のおかげではありません。でも、自分が最初に「商売の数字」を知ったのは、このカー用品店でした。

知識だけでも仕事にはならなかった

そして、もう一つ大きかったのが接客です。

商品知識があれば売れるわけではありません。

お客さんが何を求めているのか。どういう使い方をするのか。予算はいくらなのか。

まず話を聞かなければ分かりません。

自分が知っていることを全部話しても意味がありません。

相手に必要なことを、相手に分かる言葉で説明する。これも仕事をしながら覚えました。

ここでも、相手を知ることが必要でした。

商品を見る仕事だと思っていたけれど、実際にはずっと人を相手にしていたんです。

好きだった仕事では現実を知った。何も知らない仕事では学ぶ喜びを知った

パチンコ店の仕事に戸惑う若い男性と、カー用品店でカタログを読み学ぶ喜びを感じる男性を対比したイラスト

この頃の経験を振り返ると、不思議に思います。

好きだったパチンコ。仕事にしてみたら、知りたくなかった現実を知って辞めました。

一方で、ほとんど何も知らなかったカー用品店。

最初は打ちのめされました。知らないことが怖かった。何度も先輩を頼りました。

それでも一つずつ覚えていくうちに、学ぶことが楽しくなりました。

好きだった仕事では現実を知って辞めた。何も知らなかった仕事では、学ぶ喜びを知った。

だから今は、「興味がないから自分には関係ない」と最初から決めつけるのは、少しもったいないと思っています。

自分の世界の円を、少しずつ広げていく

10代の頃の自分の世界は、かなり狭かったと思います。

学校。友達。ゲーム。アルバイト。

自分が知っているものが、世界の全部のように感じていました。

でも社会に出て、工場で働く。派遣で働く。パチンコ店で働く。カー用品店で働く。

知らない商品を覚える。知らない人に会う。人に助けてもらう。商売の数字を知る。

少しずつ、自分が知っている世界が広がっていきました。

自分の世界を円だとしたら、興味を持って一歩外へ出るたびに、その円が少しずつ大きくなっていく。

そんな感覚があります。

何でも続けなければいけないとは思いません。パチンコ店なんて自分は2か月で辞めました。

でも2か月働いたから分かったことがあります。

合わなかった。それも一つの答えです。

カー用品店では逆でした。何も知らなかった。でもやってみたら、約3年も続きました。

最初から自分に合うものなんて、自分でも分からないのかもしれません。

20代はいろいろやってみてもいい

20代の頃は体力もありました。多少無理をしても動けました。知らないこともどんどん覚えられた。

仕事が終わってから遊ぶこともできました。

仕事だけではなく、友人と遊んだり、ドライブしたり、飲みに行ったり。

今振り返ると、かなり充実していた時期だったと思います。

もちろん失敗もたくさんしました。お金でも失敗しました。仕事でも失敗しました。人間関係でも悩みました。

でも、その一つ一つが、「自分は何が好きなのか」「何が嫌なのか」「どういう人と合うのか」を知る材料になりました。

だから20代の人に何か伝えるなら、自分の知っている世界だけで満足せず、少しだけ興味の幅を広げてみてほしい。

仕事でもいい。趣味でもいい。本でもいい。人との出会いでもいい。

その中に、自分でも知らなかった自分がいるかもしれません。

40代になった今も、円を広げている

21歳の頃、車種名すら知らなかった自分が、約3年後には用品部門を任されるようになりました。

一人だったら、たぶん無理でした。

教えてくれた人がいた。助けてくれた人がいた。見てくれていた人がいました。

その人たちがいたから、続けられたんだと思います。

そして今、自分は40代になって、AIや投資、ブログを学んでいます。

21歳の頃と、やっていることはそれほど変わりません。

最初は分からない。少し怖い。でも興味を持って一歩入ってみる。

分からなければ聞く。調べる。やってみる。

そうすると、昨日知らなかったことが今日は少し分かる。

自分の世界の円は、興味を持って一歩外へ出るたびに少しずつ広がっていく。

40代になった今も、それは変わりません。

カー用品店で過ごした約3年間は、そのことを最初に教えてくれた時間だったと思います。

そして、もう一つ。

この職場では、自分のその後の考え方に大きく影響した人との出会いもありました。

同じ職場。同じくらいの年齢。同じようにスタートしたはずなのに。

気がつけば、自分とは全く違う成長をしていた友人がいました。

自分はその姿を見て、かなり悔しい思いをしました。

でも40代になった今振り返ると、その友人から教えられたことはたくさんあります。

次は、「ウサギと亀」というテーマで、その頃の話を書こうと思います。

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