仕事の通知表で「5」を取るには?|20代で知った評価と承認欲求の話

カー用品店で働く二人の若い販売員と、仕事の評価を通知表の5に例えたイラスト 働いてわかったこと

前回の記事では、同じカー用品店で働いていた友人Aとの関係を「ウサギと亀」に例えて書きました。

ウサギと亀|同じ職場で働いた友人Aと自分を比べて気づいたこと

自分より車に詳しい。自分より売れる。話もうまい。お客さんにも好かれる。

当時の自分にとって、Aは追いかける「ウサギ」のような存在でした。

そのAが職場を辞めたあと、自分の中に一つの疑問が残りました。

「あれだけ売れていたAは、仕事の通知表なら何点だったんだろう?」

カー用品店で働いていた20代前半の頃、自分はよくそんなことを考えていました。

学校のテストなら分かりやすいです。問題を一問も間違えなければ100点。

でも通知表の5は、少し違います。

テストが100点なら5なのか。授業態度も必要なのか。先生から評価されなければ5にならないのか。

学校を卒業してから、なぜかそんなことを仕事に置き換えて考えるようになりました。

Aは、自分から見れば「5」の販売員だった

友人Aは、自分から見ても優秀な販売員でした。

話がうまい。お客さんの懐に入るのがうまい。商品知識も豊富。タイヤの説明も分かりやすい。

Aを目当てに来るリピーターまでいました。

さらに、給料を使って自分の車に部品を取り付ける。実際に使う。その経験を接客に使う。

自分にはなかなかできなかったことです。

「この商品は本当にいい」と自分が思っているから、自信を持って勧められる。

自分から見ると、販売員としては完全に5でした。

もう一度同じ土俵で販売勝負をしろと言われても、正直勘弁してほしいくらいです。

でも、会社から見たAの評価は違った

Aには、自分が売りたい商品がありました。

自分で使って、良いと思った商品をお客さんに勧める。そこにはAなりの信念がありました。

ただ、会社には会社で売りたい商品があります。

利益が取れる商品。重点的に販売したい商品。

Aが勧めたい商品と、会社が売ってほしい商品が同じとは限りません。

Aは売っていました。売上の数字も作っていました。

でも利益が残らない。会社が売ってほしい商品ではない。

そのため、「そんなタイヤを売るな」というようなことまで言われていた記憶があります。

そこで自分は考えました。

「Aの通知表って、いくつなんだろう?」

お客さんからは5。でも会社からは2や3かもしれない

お客さんから見れば5。自分のような販売員から見ても5。

でも会社から見れば2や3かもしれない。上司から見ても同じかもしれない。

同じ人。同じ仕事。それなのに、見る人によって通知表が変わります。

ここで初めて、仕事には一枚の通知表しかないわけじゃないと考えるようになりました。

会社の通知表。上司の通知表。お客さんの通知表。同僚の通知表。そして、自分自身がつける通知表。

全部、採点基準が違います。

自分には「売る」以外にもたくさんの科目があった

友人Aはタイヤ部門にいて、接客と販売が中心でした。一方、自分は用品部門を任されていました。

たかがゴンドラ10本くらいの売場です。でも、自分にとってはかなり楽しかった。

商品を仕入れる。営業担当と話す。値段を決める。どこに並べるか考える。

POPを作る。値札を作る。ショーケースに入れる。照明を当てて見せ方を変える。

在庫を見る。伝票を見る。どれくらい利益を乗せるか考える。アルバイトの子と一緒に売場を作る。

店長へ一つ一つ確認しなくても、ある程度自由にやらせてもらえました。

正社員として与えてもらった権限を使って、小さいながらも、自分の売場を作っている感覚がありました。

だから自分の場合は、販売だけで5を取る必要はありませんでした。

販売。商品管理。利益。仕入れ。売場作り。人との関係。

いろいろな科目がありました。

会社で5を取ろうとすると、別の何かが3になる

会社、お客様、仲間、自分自身からの評価の違いを通知表に例えたイラスト

40代になった今は、ここが少し分かります。

全部を5にするのは難しい。

会社から5をもらおうと思えば、会社の数字を最優先する必要があります。

でも、それをやりすぎれば一緒に働く人との関係が3になることもある。

仲間を助けることを優先すれば、効率という意味では会社から3をつけられるかもしれない。

お客さんへ本当に勧めたいものを売れば、お客さんからは5。でも利益が取れず、会社からは2。

逆に会社が売ってほしいものを売れば、会社からは5。

でも、「自分は本当にこれを勧めたいのか?」というモヤモヤが残って、自分自身の通知表では3になるかもしれません。

何かを5にしようとすると、別の何かが下がる。

仕事って、そういうところがあるんだと思います。

20代の自分は、全部の5が欲しかった

当時の自分には、そんなことは分かりませんでした。

会社から認められたい。先輩から認められたい。同僚から認められたい。お客さんからも認められたい。

全部欲しかった。

仕事を覚える。接客ができるようになる。売れるようになる。仕事を任せてもらう。

周りの人が話しかけてくれる。食事や飲みに誘ってくれる。

そうやって少しずつ、「自分も認めてもらえている」と感じるようになりました。

これが本当にうれしかったんですよね。

たぶん、自分の承認欲求が一気に強くなったのもこの頃だったと思います。

この職場では、人間関係の「5」をもらえた気がする

特にこの職場は、人との関係に恵まれていました。

先輩たちと食事へ行く。酒を飲む。仕事の愚痴を言い合う。休みを合わせて出かける。

スキーやスノーボード。海。温泉。

自分のことを気にかけてくれる先輩もいました。

40代になるまで働いてきて、会社の人たちとここまで親しくなれた職場は他にありません。

もちろん、自分も人とぶつかりました。

言い方が悪い。語尾が強い。声が大きい。相手を不快にさせてしまったこともあります。

それでも、仕事が終わったあと一緒に飯を食べたり、酒を飲んだりして、また関係を作り直す。

そういう経験ができたことは、今でも自分の財産です。

今の自分が取りたい「5」は、会社ではない

今、自分は40代になりました。

そして今の働き方を考えると、会社から5を取ることを一番にはしていない気がします。

仕事を適当にやるわけではありません。会社に対しても、自分の役割はやる。

でも、何を大切にして働いているかと聞かれたら、一緒に働く仲間です。

助けてくれる同僚。同じ現場で働いている人。困っている人がいれば助ける。一緒に無事に仕事を終わらせる。

今の自分が一番取りたい5は、仲間との通知表の5なのかもしれません。

会社からは4くらいでいい。自分の仕事はちゃんとやる。

でも会社の5を取るために、仲間との関係を2や3にはしたくない。

40代になって、ようやく自分が大切にしたい科目が少し分かってきました。

そして最後は、自分自身の通知表

ただ、もう一段考えると、自分自身が、自分に何点をつけるか。最後はここを考えたいです。

友人Aは会社から評価されなくなりました。でもAは、自分が本当に良いと思った商品を売っていました。

自分で買う。使う。納得する。そしてお客さんへ勧める。

今の自分は、その姿勢は間違っていなかったと思います。

会社から2や3でも、お客さんから5。

そしてA自身が、「自分はこれを売りたい」と胸を張れていたなら、A自身の通知表では5だったんじゃないか。

20代の頃には分からなかったことです。

誰から「5」をもらおうとしているのか

昔の自分は、他人がつける通知表ばかり気にしていました。

会社。上司。同僚。世間。人からどう見られるか。

その延長線上で、持っている車。着ている服。ブランド。そういうものでも自分の評価を上げようとしていた部分があったと思います。

以前書いた「承認のための消費」の話にも、この頃の感覚はつながっています。

40代になった今でも、認められればうれしいです。それは変わりません。

ただ、「今、自分は誰から5をもらおうとしているんだろう?」と考えられるようにはなりました。

そして最後に、自分自身の通知表で5を取れる選択なのか。

そこを考えたいと思っています。

あなたの周りにも「ウサギ」はいませんか?

前回、友人Aとの関係を「ウサギと亀」に例えました。

友人Aは、自分より知識がある。自分より売れる。話もうまい。お客さんにも好かれる。

当時の自分には、悔しい存在でした。でも今振り返ると、Aがいたから自分は頑張れた部分もあります。

もしあなたの周りにも、「なんかあの人が気になる」「自分よりできて悔しい」「どうしてあの人ばかり評価されるんだろう」と思う人がいたら。

その人の嫌なところばかりを見るのではなく、「この人のどこが自分よりすごいんだろう?」と一度だけ見方を変えてみるのもいいかもしれません。

話し方なのか。知識なのか。行動力なのか。続ける力なのか。人との接し方なのか。

その人を「嫌なライバル」で終わらせず、自分が追いかけるウサギとして見る。

そうすると、悔しさの使い方が少し変わるかもしれません。

もちろん、無理に誰かと競う必要はありません。追いつけないことだってあります。

でも、「自分には何が足りないんだろう」「自分はどんな5を取りたいんだろう」

そうやって何か一つ感じるだけでも、自分を見るきっかけになります。

あなたが今、大切にしている通知表の「5」は何でしょうか。

会社からの5ですか。お客さんからの5ですか。一緒に働く仲間からの5ですか。

それとも、自分自身からつける5ですか。

自分は40代になって、ようやくそのことを考えるようになりました。

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