客が来ないのに歩合制。カー用品店3年目で感じた会社の仕組みへの違和感

客の少ないカー用品店で歩合制やポスティング、働き方に疑問を感じる若い販売員のイラスト 働いてわかったこと

前回の記事では、「仕事の通知表で5を取るには、どうしたらいいんだろう?」と考えていた20代の頃について書きました。

仕事の通知表で「5」を取るには?|20代で知った評価と承認欲求の話

お客さんから見れば5。会社から見れば3。上司から見れば2。

同じ仕事でも、見る人によって評価は変わる。カー用品店で働きながら、そんなことを考えるようになりました。

そして3年目くらいになると、もう一つ気になることが出てきます。

それが、「これって、本当に販売員の仕事なのかな?」ということでした。

入ったばかりの頃は、仕事を覚えるだけで精いっぱいでした。

でも仕事が分かるようになってくると、今度は会社の仕組みそのものが見えるようになってきました。

売れと言われても、お客さんが来なければ売れない

カー用品店なので、当然ですが商品を売ることが仕事です。

タイヤ。オイル。バッテリー。カー用品。

売上目標もありました。

そして当時、自分たちの給料には歩合制という仕組みもありました。

売れば給料に反映される。最初に聞いた時は、分かりやすい仕組みだと思いました。

「だったら売ればいいんだ」

20代の自分は、そんなふうに考えていました。

でも実際に働いてみると、そんなに単純ではありません。

繁忙期ならお客さんは来ます。タイヤ交換の時期なら、タイヤを探している人も増える。

でも暇な時期になると、本当に暇です。タイヤが一本も売れないような日もありました。

店にお客さんがいない。でも目標はある。

歩合制と言われても、そもそも売る相手がいない。

ここにだんだん違和感を持つようになりました。

「歩合制」という言葉が妙に引っかかった

今振り返ると、

歩合制。

妙に昭和っぽさを感じる言葉です。

やった分だけ稼げる。売った人間が評価される。頑張った人間が報われる。

言葉だけ聞けば、悪くありません。

でも自分たち販売員がコントロールできるのは、来店したお客さんに、どう接客するかという部分です。

何人来店するかまでは、自分では決められません。

昨日はお客さんがたくさん来た。今日はほとんど来ない。

季節もある。天気もある。店の知名度もある。広告もある。立地もある。

同じように頑張ったとしても、来店人数が違えば売上は変わります。

そこで自分は思うようになりました。

「歩合制なのに、販売員がコントロールできない部分が大きすぎないか?」

来てくれた10人のうち、何人に買ってもらえるか。そこは販売員として頑張るところだと思います。

でも、10人来てもらうところまで現場が背負うのは、少し違うんじゃないか。

そんな感覚がありました。

自分では客数を決められないのに、売上で評価される。もし同じ立場だったら、あなたはどこまでを「自分の責任」だと思いますか?

お客さんが来ない。じゃあ自分たちで呼んでこい

お客さんが少なければ、今度は集客です。

当時、チラシのポスティングもやりました。記憶では2,000枚から4,000枚くらい。

住宅街を歩いて、一軒一軒ポストへ入れていく。何時間もかかります。

それだけ配って、反応が2件、3件。そんなこともありました。

しかも、「チラシを入れないでくれ」という苦情が来ることもあります。

何千枚も配って数件。

20代の自分でも、「これ、本当に効率いいのかな」と思いました。

広告に十分なお金をかけられない事情も、会社にはあったのかもしれません。経費を削らなければならなかったのかもしれない。

当時の自分には会社の経営状況までは分かりません。

ただ現場にいる自分からすると、広告で呼べない分まで、販売員が足で集める。

そんな感覚がありました。

「集客まで販売員の仕事なのか?」

この疑問はかなり残りました。

自分が思っていた販売員の仕事は、店に来てくれたお客さんの話を聞く。何に困っているかを聞く。予算を聞く。

商品を説明する。その人に合ったものを提案する。そして買ってもらう。

そこでした。

もちろん、自分も用品部門ではいろいろやっていました。

POPを作る。商品の置き場所を変える。値札を作る。

ショーケースに商品を入れる。照明を当てて目立たせる。売れそうな商品を営業担当と相談して仕入れる。

こういうことは好きでした。

「どうやったら、この商品を見てもらえるかな」と考えるのは楽しかった。

でも店の外へ出て、何千枚もチラシを配って、「お客さんを連れてこい」となると、自分の中では少し違いました。

今なら、「集客」と「販売」は似ているようで別の仕事だと思います。

当時はそんな言葉では説明できませんでした。

ただ、「店で待って売るのと、自分からお客さんを取りに行くのは違うよな」という感覚だけはありました。

この違いを、自分はこのあと嫌というほど知ることになります。

もう一つ引っかかった「みなし残業」

そして、もう一つ妙に記憶に残っている言葉があります。

みなし残業。

これも当時の自分には、かなり独特な響きのある言葉でした。

歩合制。みなし残業。

今思い返すと、どちらも当時の自分には、「とにかく働いて結果を出せ」と言われているような感じがありました。

ポスティングを勤務時間の外でやることもありました。長時間働くことも珍しくありませんでした。

周りもやっている。若い自分もやる。

だから当時は、「こういうものなんだろう」と思っていました。

みなし残業という仕組みそのものの良し悪しを言いたいわけではありません。

ただ自分が働いていた環境では、仕事と自分の時間の境目が分かりにくくなっていく感覚がありました。

今日はここまで。

という終わりが、なかなか見えない。

20代だから体力もありました。

でも、「これをずっと続けるのかな」と思うと、少しずつ不安になっていきました。

給料も3年間ほとんど変わらなかった

そして、転職を考える一番大きな理由は、やっぱりお金でした。

当時の年収はだいたい380万円くらい。ボーナスはありませんでした。

そして約3年間働いても、給料はほとんど変わらなかったと記憶しています。

20代前半の自分にとって、380万円という金額そのものが最初から不満だったわけではありません。

最初は正社員になれたこともうれしかった。仕事も覚えた。売場も任せてもらえた。人間関係も楽しかった。

でも3年働いても給料が増えない。ボーナスもない。有給も取りづらい。長時間労働は当たり前。

歩合制で、売れ。もっと売れ。と言われる。

でもお客さんが来ない時は、ポスティングへ行く。

そういう状況が重なって、「このままずっとここで働くのは、ちょっと厳しいな」と思うようになりました。

会社が嫌いだったから辞めた。そんな単純な話ではありません。

仕事内容は好きでした。人も好きでした。楽しい思い出もたくさんあります。

それでも、好きな仕事と、長く続けられる仕事は同じではない。

そのことも、この頃に少しずつ感じ始めていました。

売るために不安をあおるのも苦手だった

販売を続ける中で、もう一つ苦手だったことがあります。

商品を売るために、お客さんの不安を強くするような売り方です。

「このままだと危ないですよ」

「そろそろ交換した方がいいですよ」

もちろん、本当に交換した方がいいものもあります。車なので、安全に関わることもあります。

必要なことなら伝えなければいけません。

でも自分の中で、「これ、本当に今必要なのかな」と思うものまで強く勧めるのは苦手でした。

売上目標がある。歩合もある。数字を作らなければいけない。

そうすると、売る理由を探すようになることがあります。

自分には、それがあまり合いませんでした。

良いと思ったら勧める。必要だと思えば説明する。

でも必要ないと思ったものまで強く売るのは難しい。

前回の記事で書いた友人Aが、「自分が本当に良いと思った商品を売る」ことにこだわっていた理由も、今なら少し分かる気がします。

仕事を覚えたから、会社の仕組みが見えるようになった

入ったばかりの頃は、こんなことを考える余裕なんてありませんでした。

車種すら分からない。商品も分からない。接客もできない。

毎日、「覚えなきゃ」だけでした。

それが3年近く働いて、接客ができるようになる。商品も分かる。売場も任せてもらえる。

仕入れもできる。利益も少し分かる。伝票も読める。

そうすると、「そもそも、この仕組みってどうなんだろう?」と考えるようになりました。

これは、仕事を嫌いになったからではありません。むしろ仕事が分かるようになったからだと思います。

何も知らない時には見えなかったものが、仕事を覚えたことで見えるようになった。

そんな感覚でした。

頑張れば何とかなる、だけではなかった

20代の頃の自分は、頑張れば何とかなると思っていました。

知識がなければ覚える。売れなければ接客数を増やす。友人Aに負けているなら、もっとやる。

最初の頃は、それで実際に成長できました。

でも仕事には、自分の努力だけでは変えられないこともある。

客数。会社の方針。広告。売上目標。利益率。

評価制度。給与。人員。働く時間。

どれだけ自分が頑張っても、全部を自分で変えることはできません。

20代の自分は、「会社というものは、そういうものなんだ」と少しずつ知っていきました。

あなたの仕事にも、自分では変えられないのに、結果だけを求められることはありますか?

それでも、この職場で覚えたことは多かった

ここまで書くと、嫌な会社だったように見えるかもしれません。

でも、自分の中ではそうでもありません。

カー用品店での約3年間は、本当にいろいろなことを覚えました。

商品知識。接客。販売。仕入れ。在庫。利益。伝票。売場作り。

アルバイトの人たちと一緒に仕事をすること。そして人間関係。

今でも、この頃に覚えたことはかなり残っています。

だからこそ、「ここで働いたことが無駄だった」とは全く思いません。

むしろ、自分が初めて仕事の面白さを知った場所だったと思います。

ただ、このままここで働き続ける未来は、だんだん想像できなくなっていました。

店で待つんじゃなくて、自分で行く

給料をもう少し上げたい。ボーナスも欲しい。もう少し違う世界も見てみたい。

そんなことを考えるようになりました。

そしてカー用品店で接客や販売を経験した自分は、少し勘違いをします。

「自分、営業もできるんじゃないか?」

ということです。

お客さんと話せるようになった。商品も説明できる。売ることもできるようになった。

だったら営業でもできるだろう。

今考えると、かなり単純です。でも当時は本当にそう思っていました。

カー用品店では、店で待っていれば、お客さんが来てくれました。

次に自分が選んだ営業は違いました。

店で待つんじゃなくて、自分で行く。

お客さんのところへ行く。話を聞いてもらう。関係を作る。そして仕事を取ってくる。

同じ「売る仕事」だと思っていました。

でも、販売と営業は全然違いました。

カー用品店で少し自信をつけた自分は、給料を上げたいという気持ちもあって、営業の世界へ進みます。

そして、「自分ならできる」と思っていたその自信は、次の職場でかなり大きく崩れることになります。

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